新民法について(3)【契約不適合責任(売買契約など)】
1.契約不適合責任とは
売買契約における契約不適合責任とは、引き渡された商品が契約で予定されていた種類や品質、数量に適合していない場合に、売主が買主に対して負う責任のことをいいます(特定物・不特定物を問いません。)。
改正前民法は、瑕疵担保責任という制度を採用していましたが (改正前民法570条)、今回の改正では、上記制度を廃止し、契約不適合責任という制度を導入しました。そのため、今後契約書を作成する場合や、契約書を修正する場合には、「瑕疵」ではなく「契約不適合」の表現にしておきましょう。
また、契約不適合かは、契約ごとに異なりますので、契約書には、目的物の種類、品質、数量などを出来るだけ具体的に記載しておきましょう。
2.契約不適合責任の具体的な内容
①追完請求(改正後民法第562条1項本文)
商品の修理や、不備のない商品や不足分の商品を引き渡してもらう請求のことです。追完方法が複数ある場合には、まず買主が選択することができます(同法第562条1項本文)。ただし、契約不適合が買主の責めに帰すべき事由による場合には、追完請求をすることはできません(同条2項)。
②損害賠償請求(売主に責任がある場合。同法第564条、415条)
③代金減額請求(同法第563条1項・第2項)
原則として、買主が①の追完請求をしても売主が応じない場合に、不適合の程度に応じて請求をすることができます。
④契約の解除(同法564条、541条、542条)
③と同様に、原則として買主が①の追完請求をしても売主が応じない場合に請求できます。契約の解除を行った場合には、代金を既に支払っていた場合には返金され、商品については返品することになります。
3.期間制限
引き渡された商品が種類又は品質に関して不備があった場合、買主は売主に対し、商品の不具合を知ったときから1年以内に、不具合の種類・範囲などを通知しなければなりません(改正後民法566条)。
ただし、会社間の売買契約などの場合には、買主は売主に対し、商品の引き渡し後6か月以内に不具合の内容を通知しなければなりません(商法第526条2項)。
(文責:横山愛聖)