契約書・文書チェック
2.弁護士による契約書チェックが必要な理由
御社は弁護士に契約書をチェックしてもらったことがありますか?
もしなければ、一度だけでもよいので是非チェックを受けてみてください。
「今までトラブルがなかった」としても、それは過去の話。今後もトラブルがないとは言えません。
契約書とは、「トラブルが発生した時」に拠り所となる、大事な決め事です。
売掛金が入金されないとき、商品が納品されなかったとき、契約を解消したいときなど、揉めごとが生じた時に効力を発揮します。
仮に自社の責任でトラブルを引き起こしてしまっても、損害賠償の対象や範囲を制限する条項を設けておけば、御社の損害を最小限にすることができます。契約書は、御社の業務の『攻めと守り』を支える大事な柱なのです。
3.契約書に関するよくある誤解
3-1 誤解1「契約書はネットのひな形で十分」
ネット上のひな形はとても便利ですし、参考になる場合もとても多いです。
しかし、それは「わかる人が見れば」という条件が付きます。ポイントがわからないままひな形を使っても、御社に合った内容になっているとは限りません(運に左右されます)。
「立場」や「背景」によって、契約書の内容を大きくアレンジしないと意味がありません。ひな形そのままの対応は、むしろ御社の利益を損なってしまう可能性があります。必ず取引実態に合った契約書にアレンジしてください。
3-2 誤解2:「取引先から提示された契約書をそのまま使っている」
もし自社の書式がなく、取引先の契約書をチェックせずそのまま使っているのであれば、是非一度弁護士によるチェックを受けてみてください。御社が気が付いていないリスクが隠れています。
立場上、取引先の契約書案は修正できないから受け入れるしかないという場合でも、契約書をチェックする意味は十分あります。御社のリスクを認識し、取引先に修正を申し入れたときの反応や態度で、取引先が何をどう考えているかがわかりますし、それこそが御社の経営リスクを軽減することにつながります。契約書の締結は取引先とのコミュニケーションツールの1つなのです。
契約書の修正には一切応じてくれないだろうと思っていても、弁護士からの修正提案を検討し受け入れることも少なくありません(まったく修正に応じない取引先はごく少数ですし、交渉過程を記録に残すなどの対応策はあります)。
可能であれば、自社側の契約書案(自社書式)を作成したいところです。自社の契約書案があれば、事前に自社のリスクヘッジができている書式を出すだけで済みますし、打ち返しのチェックも簡単で御社の負担も軽減できます。
3-3 誤解3:「覚書は法務チェック不要」
契約書と覚書、なんとなく覚書の方を軽く考えていませんか?両者は効力の意味では全く同じです。契約書、覚書、合意書、確認書、申入書など、タイトルが違っても、合意内容が記載されていればすべて法的効力は同じです。
せっかく契約書でガッチリ固めたのに、覚書で変更してしまっては意味がありません。覚書締結こそ十分注意が必要です。
3-4 誤解4:「受発注書があるから大丈夫」
その受発注書の内容こそが「契約書」です。御社が考える合意内容をすべて記載していますか?金額や支払日だけでなく、支払われなかったときにどうするか、契約解消はどうするか、解消後はどうするのかなど、今お使いの受発注書に少し手を入れるだけでも、御社の防御力は大きく伸ばせます。
3-5 誤解5;「基本契約だけチェックすればよい」
継続的に取引を行う場合は、基本契約書+個別契約書(受発注書)で行うことが多いですが、基本契約書だけでなく、個別契約書も是非リーガルチェックを受けてください。基本契約よりも個別契約の方が重要な内容を含んでいることが少なくありません。
4.実際の活用例(一部)
4-1 小売販売会社(契約書チェック)
仕入先から提示された契約書をそのまま使っていたところ、取引先が増えてきたこともあり、当事務所にチェックをご依頼。
現行法にはない規定や、実際の取引とは異なる内容の条項も多く、依頼者に一方的に不利な内容の条項も見られましたので、下請法や公平の観点から修正提案を申し入れ、実態に沿った適正な契約内容にしました。
現在も新規契約はすべてリーガルチェックを行い、また過去の契約も適宜見直しを図っています。
4-2 システム開発会社(契約書チェック)
新規取引先との基本契約書のチェックのご依頼。
「業務委託契約」の内容が準委任か請負かが意識されておらず、実際にトラブルになったときに機能しない内容でしたので、起こりうるトラブルに対応する条項に修正しました。現在も定期的にリーガルチェックを続行中です。
※業務委託(基本)契約はよくある契約ですが、その内容を法的に読み解くと議論が多いところです。準委任か請負か、準委任であっても納品物がある場合の対応や支払い条件等により、限りなく請負契約と同じ内容になりうるところです。各契約類型の特徴やリスクを十分勘案して各条項を定める必要があります。
4-3 アプリ開発会社(契約書チェック)
自社開発のアプリを販売するにあたり、顧客との契約書の作成をご依頼。
まずはアプリの概要をヒアリングした上で、アプリ内容が法的に問題ないかをチェックし、想定顧客、金額、支払い方法、販売方法、販売後の保守の有無、権利関係等をヒアリングした上で、売買契約書と利用規約を作成。
販売開始後も追加覚書等の作成やフォローを行っています。
4-4芸能プロダクション会社(契約書チェック)
所属インフルエンサーのいわゆる「案件」受注のための契約書作成のご依頼。
先方から提案された契約書案を確認したところ、依頼者に過大な責任を負わせる条項が散見されたため、これを是正すべく修正条項案をご提示。相手方からの打ち返し等、何度かやり取りを繰り返したものの、あまりにも依頼者の責任が大きすぎる反面、リターンが少なくリスクに見合わない契約であることが明らかに。
最終的には、今回は契約締結をしないという判断に至り、別会社との契約に注力することができました。
4-5 理美容業(契約書チェック)
従業員の社内独立制度化に伴う契約書の作成ご依頼。
自社従業員にのれん分けをするにあたり、社内独立制度を実施。依頼者と当該従業員の権限・責任範囲を明確にし、賃貸不動産、什器備品等の権利関係その他実際の業務内容をヒアリングし、契約書として作成し運用しました。
4-6 物流会社(契約書チェック)
海外取引に伴う契約書の作成のご依頼。
事業内容や取引内容を十分行い、従業員からも担当業務をヒアリングし意見交換を行いました。相手企業からの複数回の打ち返しに対応し、最終的に調印した契約書の文言の一言が決定打となり、多額の損失を回避することができました。
4-7 飲食業運営会社(契約書チェック)
店舗を事業譲渡したいとのことでご相談。
買主側から提示された事業譲渡契約書案を確認し、リスクポイントを抽出。複数回修正依頼等やり取りをした上で、無事に譲渡を完了しました。