不動産賃貸業
1.不動産賃貸事業者の皆様へ
住宅用の借家戸数については、公営公社等の借家が平成15年の312万戸をピークに年々減少した(令和5年は248万戸)一方、民営借家数は昭和63年時点で967万戸から毎年増加し続け、令和5年には1568万戸と過去最大数となっています。他方、事業用の事務所床面積は、着工床面積は減少しているものの、賃貸事務所床面積の総数は毎年微増し続けています(公益財団法人不動産流通推進センター2025不動産業統計集4不動産賃貸より)。
このように、不動産賃貸業は人口減少や空き家問題等の課題を抱えつつも、外国人向け需要の増加やテレワーク・ECサイトの普及による価値観の変化などの新たな動きもみられています。当事務所では、不動産賃貸業を営む中小企業の皆様にとって、使いやすく有益な法律事務所になるよう心がけています。
2.不動産賃貸事業者様のための顧問提供サービス
(1)不動産賃貸事業における経営課題①:契約書チェック
借主との賃貸借契約書の締結は、不動産賃貸事業にとって重要な場面であることは間違いありません。古いひな形をそのまま利用した賃貸借契約書では、万が一の時に対応が難しくなります。よくある課題としては、原状回復義務の内容を明確にしていないため、明渡時に原状回復をしてもらえない、更新時に更新契約を締結できず法定更新になってしまう、老朽化のため賃借人に出て行ってほしいがなかなか退去を求められない、などが挙げられます。借地借家法により賃借人が保護される現状において、何をどこまでできるかを明確にし、契約書の内容で解決できることは解決しておいた方が望ましいと考えます。
(2)不動産賃貸事業における経営課題②:立退き
不動産賃貸事業者様からのご相談で最も多いのは、やはり賃料不払い等による明渡し・立退き請求です。賃料を払ってもらえない場合には、一刻も早く立ち退いてもらい、新しい入居者に賃貸しなければ収入が得られません。管理会社による対応で解決できなかった場合は、早期に弁護士に相談して法的対応をするのがよいでしょう。なお、賃借人の所在不明(夜逃げ等)の場合は、裁判所での明け渡し執行手続きまで必要となります。もちろん当事務所では明渡し完了の最後まで手続きを行います。
(3)不動産賃貸事業における経営課題③:債権回収
明渡し・立退き請求と同時に、未払い賃料等についても支払いを請求します。任意の支払いがない場合には、連帯保証人含め法的対応により回収を図ります。
(4)不動産賃貸事業における経営課題④:事業承継・M&A
不動産賃貸事業者様が、さらなる事業拡大のために他社事業を譲り受け、または自社の事業を売却する場面は、今後の企業サイクルの中で生じ得ます。また、企業が存続するためには、いつかは経営者の交代は避けては通れません。特にオーナーが不動産管理会社を運営し、次の世代に事業承継をする際には、経営権の問題や相続税の問題を解決する必要があります。推定相続人である子が親の不動産を承継する際には、経営的な観点以外にも、親族間の調整や、場合によっては、遺言、後見制度、民事信託の利用も検討することになります。
(5)不動産賃貸事業における経営課題⑤:廃業支援
不動産賃貸事業者が保有資産を売却処分し廃業する場合、売却手続きに伴う諸手続き、ローン会社がある場合はローン会社との調整等関係各所との調整が必要になります。また、事業停止による従業員の退職(解雇)手続き等についても、弁護士事務所がサポートすることが可能です。
(6)不動産賃貸事業における経営課題⑤:労務管理
不動産賃貸事業を継続する上で、雇用する従業員の労務管理について疑問等があればいつでもご相談ください。
3.当事務所の強み・費用
(1)当事務所の強み(特徴)
- 信頼関係を重視:代表弁護士自らが顧問先企業様を担当し責任を持って担当します。
- コミュニケーションを重視:相談しやすい、声をかけやすい関係を大切にします。お客様に合わせたツール(面談・電話・メール・ウェブ会議・SNS等)を利用しています。
- 依頼者の利益を重視:企業の法務サービスのみならず、離婚・相続・高齢者問題等プライベート問題にも対応可能。総合的なリーガルサービスを提供しています。
- 明確な料金体系:料金は事前にHPで公表し、個別お見積りも事前にご提示します。顧問料のお支払いは口座振替(手数料は当事務所負担)が可能です。
(2)弁護士費用
4.不動産賃貸事業者様の活用例
建物明渡し・未払い賃料請求
アパートの賃貸オーナーからのご相談。1年前から賃料が遅れ気味となり、数か月分の滞納になっている。最近は自宅に帰ってきておらず、連絡も取れず困っているとのこと。
まずは状況を確認し、代理人として賃貸約契約の解除を通知(但し内容証明郵便では受け取らないため、ポスト投函の郵送を利用)。同時に連帯保証人として記載のあった遠方の親族にも連絡したところ、親族から滞納家賃を払うとのことで、一旦は全額回収。
その後も賃借人とは連絡がつかないため、明渡し訴訟を提起し、判決を受領。
明渡し強制執行の申立てを速やかに行い、担当執行官と打ち合わせの上、現場にて同席。同行した鍵屋に開錠してもらい、居室内の状況を確認。後日、日を改めて残置動産の撤去・明渡し執行を完了しました。
建物明渡し・未払い賃料請求
長年賃借人が居住している物件が老朽化し、メンテナンスが大変になってきたので、そろそろ賃借人に出て行ってもらい更地にしたいとのご相談。
老朽化といっても朽廃するほどではないため、任意の明け渡し交渉を試みるべく、ソフトな内容の手紙を出して交渉開始。賃借人も老朽化には理解を示し、長年大家さんにはお世話になったとして、一定程度の立退き費用を条件に退去を承諾。細かい条件を詰めていき、合意書を締結し、円満に退去していただきました。
経営権争い
オーナー社長が亡くなり、子ら複数名が相続人となったところ、遺言の趣旨と異なり長男がすべての経営を行うと宣言したため、他相続人が今後の対応を検討したいとして相談。
遺言は自筆証書遺言であり、解釈がいくつかできる内容である一方、遺産分割協議未了の間は頭割りでは依頼者側が多数派を形成できるため、遺産分割未了のまま役員選任等を行い、経営権を取得。遺産分割調停、遺言確認無効訴訟等を経る中、会社経営は依頼者側主導で粛々と進めました。
※本件では自筆証書遺言がありましたが、その内容が文言上は複数の読み方できる可能性があること、但し、生前の被相続人の言動からすると、一義的な内容となりうるため、生前の被相続人の言動を裏付ける証拠資料を確保し、最終的には訴訟による解決を図りました。
経営権争い
社長の高齢化に伴い、子である取締役間に衝突が生じるように。会社経営を円滑に行う術はないかとご相談。
まずは大株主である社長の遺言を作成し、万が一に備えた上で各役員を牽制。顧問税理士とも連携し、決定的な決裂が生じないように話を促しました。※オーナー社長の高齢化に伴い、次世代の経営者を誰にするか、またいつどのように経営権を委譲するかについて、税務面も考慮しつつ、ご本人の利益を確保するよう検討しました。